お店を閉めて19時30分までには退店し、片道45分の道のりを間違っても事故ったりしないよう気合いの入った運転で家路を急いだ。

軽自動車だったら2台置きできるカースペースのど真ん中にメタリックグレーの愛車を車庫入れし、浮き浮きと玄関の鍵を回して扉を開く。

「千秋さーん、ただいまぁっ」

「おかえりー」

奥から間延びした声が聞こえ、ますます上がるテンション。パラダイスの入り口(注:リビングの中)へと足を踏み入れる!

「ノンちゃん、誕生日おめでとう」

目の前にはエプロン姿で笑み崩す千秋さん。そしてオレンジ色のバラとピンクのガーベラ・・・あとはちょっとよく分かんないけど、華やかで可愛らしいブーケがあたしに向かって差し出されてた。