「えーと、どのようなご用件デショウ?」

貼り付けた笑顔で、自己申告する前にさり気なく。

どう考えてもまるで記憶にない顔。髪を一つに結び、アイメイクも口紅も派手すぎない、耳たぶに控えめなピアスが覗いてる。美人かと言われると平均的な印象だけど、歳も上っぽいしどちらサマ???

「突然ごめんなさい。私の上司の姪御さんがこちらのお店にいるのを訊いてたものですから、いらっしゃるかと思って」

「千秋さんが?!」

あ。つい。

「ああ、あなたが?」

「ソウですね、ワタクシです」

思わずはにかみながら、千秋さんてば会社の人にあたしのコト話すんだー、と脳天気に喜ぶ。