「二人にとって一生残ることならすごく大事なことだし、だから少しだけ時間をくれないかな」

「・・・・・・・・・・・・・・・イイデスヨ」

勢いもそりゃあ大事だけど、それよりもっと特別だって想ってくれてる証拠だもんね、あたしと結ばれるのを。ちょっとくらい待てますヨー?ちょっとしか、待ちませんヨー?

「ありがとう、きぃちゃん」

千秋さんの目がなくなった。いつもの可愛い笑顔。なんか弱いなぁ、この笑顔。





それから千秋さんの車でホテルを後にして。家に着いたのは、新聞屋さんが朝刊を配り始める頃だった。

助手席に座るのはいつもだけど、ずっと手を繋いでた。ずっと千秋さんの顔しか見てなかった。照れてはにかみ笑いをするのが、可愛いすぎて押し倒したくなるのを、ガンバって我慢した。

大好きなご主人様を喜ばせたくて、“マテ”に励むワンちゃんて、こんな気持ちなのかナ。・・・そんなコトを思ったとか思わなかったとか。