「もし子供が成長する前に僕になにかあったら・・・?その頃にはもう還暦なんだよ、家族の生活を支えられてる保証だってない。紀子にそんな苦労させるくらいなら僕は」

「苦労なんかじゃないよ千秋さん」

無意識に手を伸ばし、うつ伏せた千秋さんの髪を撫でる。弱音を吐いて縋るみたいな仕草が可愛くて、可愛くて可愛くて。かじりついて食べちゃいたい。

「それってあたしの受け止め方ひとつって思うんだよねぇ。好きな人を想ってするコトならぜーんぶ、『嬉しい』になるんだから!」

言ってるあたしは自然と笑顔を綻ばせ、千秋さんは大人しくされるがまま。

「もし子供ができなくても、先に死んじゃってもねぇ、千秋さんがいっぱいいっぱい愛してくれたら、それだけでご飯おかわりできるんだから、あたし。寂しくないよ?絶対シアワセだよ?千秋さんにしかできないよ?」