お父さんお母さんはずいぶん早くから草葉の陰で娘を見守ってくれてて。血は繋がってないけど家族って呼べるのは千秋さんたった一人。その千秋さんはほんの15年、あたしより先に生まれた。

そう考えたらね、当然お墓に入る順番は決まっちゃうよ?おまけに現代女子は平均寿命も長くて、千秋さんが100歳まで生きても15年くらいは余生があるかもしれない。

千秋さんらしいなぁ、そんな何十年も未来まであたしの心配して。僕が死んだら、って心を痛めて。自分をぜんぶ後回しにして、気持ち殺して、自分じゃない誰かにあたしを任せようとしてたんだ?そっか、・・・そうなんだ。

ほんとにね。こんなに優しくて優しくてあたしを一番愛してくれる人、世界中どこ探しても千秋さんしかいないって、なんで気付かないかなぁ。他の誰かなんて一生見つかるわけないって、カンタンな答えだったのになぁ・・・・・・。

もう。あんまりに千秋さんがマヌケで、愛しくて愛しくて愛しくて。腕を伸ばして勢いよく首っ玉にかじりつく。そのまま力いっぱい引き寄せた。

「紀っ・・・!」

不意打ちでバランスを崩した千秋さんの顔が、横になってるあたしの胸元あたりに沈んだのを。しっかりホールドして離さない。

「千秋さんのバカ」