体温、息遣い、匂い、全部がいきなりのゼロ距離で。ビックリして固まったんだけど、それより何より頭ん中でエコーしてる千秋さんの言葉。

あたしより早く死んじゃうからダメ・・・?独りぼっちにしたくないから?結婚できない理由って・・・そこ?!!

放心状態のあたしに、切羽詰まった千秋さんの声が追い打ちをかけた。

「僕よりもっと若くて、紀子と同じくらい長生きしてくれる人は沢山いる。僕より紀子を愛してくれる人だってきっといる。僕は一生独りだっていい、傍で紀子を見守って生きてくだけでいい、ずっとそう思ってきた。花嫁の父親としてバージンロードを歩くのが僕の役目なんだよ。花婿になっちゃ駄目なんだよ、僕は・・・!」

大きい弾丸、小っちゃい弾丸、撃ち抜かれたあたしは穴ぼこだらけ。それが千秋さんの愛だって思えば思うほど、痛いのか痛くないのかさえ分からない。