いつもの笑顔じゃなかった。笑うと目が無くなる可愛い千秋さんとは別人。目が怒ってた。眉間にしわまで寄せて、なんかを堪えてるみたいだった。

「どうしてこんなことしたの?」

コンナコト?

「僕が来なかったら、どうなってたか分からないんだよ?それともあの男が好きになったの?僕より?若くて格好いい彼に惹かれた?」

聞いたこともないような早さで飛び出してくる言葉の弾丸。あの、やんわりのんびりを家に残らず置いてきたのかってくらい。

「きぃちゃんが幸せならいつだって僕は身を引く、きぃちゃんの為なら僕は何だってできる。紀子は誰より幸せにならなきゃ駄目なんだよ?僕じゃ駄目なんだよ僕じゃ・・・!僕じゃ、どうしても紀子より早く死んじゃうんだよ。紀子を独りぼっちになんかしたくない、僕はだから、なのに・・・ッ」

千秋さんの顔が歪んだ。口惜しそうに悲しそうに。そして次の瞬間、息もできない強さで抱き竦められてた。