本来の目的をすっかり放ったらかしてたら、何か言いたげな表情が過ったのを見逃さない。

「なんかありました?」

「車の機嫌が直りそうになくてなー。置いて帰るワケにもいかねーし、ひと晩預けることにした。せっかくだからオレ達も温泉()かって明日、帰らね?」

「温泉ですか?いいですねぇっっ」

「空いてるホテル予約しといたからゆっくり買い物しな」

「ハーイっ」

なんにも考えずに素直に返事しちゃってからハタと気付く。

・・・アレ?ちょっと待って。温泉はともかく、泊まるってコトだよねぇハルトさんと?これってセーフ?アウト?そーいうんじゃないって分かってるけども!

思考回路ごとフリーズしたあたしの頭をポンポンしたハルトさんが、事もなげに言った。

「チアキさんにちゃーんと報告しときな?」

企んだ笑顔で。