すっかり陽も落ちて車はガソリンスタンドに滑り込んだ。温泉観光地の近くらしく、通り沿いにホテルや名所の看板をいくつも見かけたのを思い返す。土産物のお店にでも寄ってから帰るのかな?

珍しくフルサービスのスタンドで、ハルトさんに促されるまま待合室で少し羽を伸ばす。暇つぶしの雑誌にテレビ、飲料水の自販機も数台、至れり尽くせり。

表で店員さんとしばらく話をしてたハルトさんが戻ってきたとき、浮かない表情だったのが気になった。

「どうかしました?」

「んー、ちょっと車の機嫌がな」

どうやらこのまま高速に乗るのはキケンで、念入りに調べてもらうことにした様子。車検も扱うスタンドだったのが幸いしたかも。

「レンタカー手配してもらったから、待ってるあいだにメシ食ってその辺一回りするか」

スマホの地図アプリを指で追いながら、それすら楽しんでるハルトさんに感心しきり。

千秋さんならどうしたかなぁ。やっぱりニコニコ笑いながら言いそう。こういうのも旅の醍醐味だよね。って。