「はい、おにぎりと玉子焼き。お味噌汁ちょっと熱いから気を付けて」

朝ご飯の乗ったトレーがあたしの前に置かれ、二人とも席についてから手を合わせて『いただきます』。

ワイシャツにネクタイ姿で、朝ご飯も夜ご飯もお弁当も作ってくれる千秋さん。家事はまあまあ得意な、大手スーパーの本社勤めで課長職、5月生まれの41歳。

あたしが小学校に上がって間もなく、趣味の山登りで帰らぬ人になったお父さんの弟で。12歳でお母さんも亡くした身寄りのない子供の親代わりになってくれた、神サマみたいな人。

系譜上は叔父なんだけど、お父さんと千秋さんは連れ子同士の兄弟だったからあたしと血は繋がってない。もう運命としか言いようがない、まちがいない。

家に遊びに来たことがある友達に『頼りなさそう』だの『騙されやすそう』だの言われても、あたしは千秋さんが好き。誰がなんと言おうと好き!

ほんと。目が節穴なんじゃない?あんなにかわいいのに。