お好み焼きだってたらふく食べたのに、見る間にお皿から減ってったベイクドチーズケーキ。最後の一口が消えシャンパンで後味をさっぱりさせると、居ずまいを正す。

「千秋さん」

突如あらたまったあたしに倣うように、千秋さんも慌て気味に背筋を真っ直ぐ伸ばした。

「今年はもうひとつ、誕生日プレゼントにどうしても欲しいものがあるんだけど」

目を見ながら言えば、思い当たりがないか一生懸命に記憶を辿ってくれてる。このシチュエーションでも『もしかして、きぃちゃん僕のこと・・・』にならない方がよっぽど不思議。ていうか。どんだけ分厚いんだっ、姪っ子フィルター!!

「真面目に言うからスルーだけはしないって約束してくれる?」

コクコク。首振り人形みたいな頷きが返った。よし。町田紀子、行きまぁ~っす!

「町田千秋さんが喉から手が出るほど欲しいです。ダンナさまに下さい!」