「電車が来ます。黄色い線の内側に下がってお待ちください」
駅の構内にアナウンスが流れる。電車が滑り込んでやってきた。僕は小説を閉じて電車に乗り込んだ。電車は相変わらず混んでいる。この時間は比較的学生が多い。同じような服、同じような髪型。同じような靴。それに何の意味があるというのか。差別を無くす為?だったら差別をするその心が間違えていると教えれば良いだろう。木の根が腐っていれば、その上の幹も葉も花さえも咲かなくなってしまう。根本を正さなければいけないのだ。

僕は電車のドアの所に寄り掛かる様に立って、流れる外の景色を眺める。雲が厚くなってきて空が暗くなってきた。雨が降るようだ。

傘を持ってくればよかった。朝、テレビを点けると母が煩いと文句を言うので、天気予報を見る事が出来ない。いつもはスマートフォンで天気予報を調べるのだが、今日はそれを忘れていた。

まあ。いいや。
駅から学校までは直ぐの距離だ。濡れたってたいした事ない。そう思っていたら、雨は思いのほか強く降ってきた。

学校まで走っていこう。

僕は駅から、ダッシュで学校に向かう。

プープープープー。
クラクションが鳴り響く。

危ない!!