テストも無事に終わった数日後の、ある日の昼休み。
いつものように彩月とお弁当を食べていた。
すると……。
「結菜ちゃん」
教室のドアの方から私の名前を呼ぶ声が。
この声は……。
私は声が聞こえた教室の戸の方を見た。
そこには……。
拓生くん……。
私は彩月に一言声をかけてから、拓生くんがいる教室の戸の方へ向かった。
拓生くんとは、あの日、一輝くんも一緒に三人でカフェでお茶をした以来、会話はしていない。
学校ですれ違ったときに挨拶をするくらいだった。
だから拓生くんと話すのは、ちょっと久しぶりになるのかな。
そう思いながら、教室の戸のところにいる拓生くんのところに。
「拓生くん」
「結菜ちゃん、ごめんね、急に」
「ううん、大丈夫だよ」
「……あのさ、今日の放課後、時間ある?」
「うん、あるよ」
って……。
あっ……。
「時間がある」と、つい言ってしまった。
どうしよう、拓生くんと二人で会ってほしくないって一輝くんに言われているのに……。
でも「時間がある」と言ったのに「やっぱり時間ない」なんて、そんなこと言えないし……。
私がどうしようと思っている間にも拓生くんの話は続く。
「ちょっと相談したいことがあるんだけど……」
「相談?」
なんだろう相談って。
拓生くんが私に相談なんて珍しいな。
だって今まで拓生くんから相談されたことなんてあったっけと思うくらい、それだけ拓生くんが私に相談なんて無いに等しかった。
それなのにどうしたのだろう。
「うん。それでさ……」
……?
少し間を開けた拓生くん。
どうしたのだろう、拓生くん。
そう思っていると……。
「オレの家に来てほしいんだ」
え……。
えぇっ‼
「拓生くんの家に?」
私は心の中で、ものすごく動揺していた。
今までなら拓生くんに「家に来てほしい」と言われても動揺はしなかった。
なぜなら、拓生くんの家に行くことは、そんなに抵抗はなかったから。
拓生くんの家に行くことは、女の子の友達の家に行くような感覚と同じだった。
でも。
今は違う。
拓生くんの家に一人で行くことは、かなりの抵抗を感じる。
そう思うようになったのも……。
やっぱり一輝くんが言った、あの言葉。
一輝くんに拓生くんと二人で会わないでほしいと言われてからは、たとえ友達でも男の子の家に行くことに抵抗を感じるようになってしまった。
それに……拓生くんに想いを打ち明けられてから、妙に拓生くんのことを意識するようになってしまった。
別に変に意識しなくてもいいとは思うのだけど……。
そういうこともあって、今は拓生くんの家に行きづらい気持ちがある。
でも、今までは拓生くんの家に行っていたのに、いきなり行かなくなるのも、なんか不自然なのかもしれない。
そう思うと……。
…………。
う~ん……。
一体どうしたらいいのか、私は困ってしまった。
私がそう思っている間にも拓生くんの話は続く。
「外では相談しづらいことなんだ」
……‼
…………。
う~ん……。
そう言われてしまうと……。
それに拓生くんにはテスト勉強も含めて何かとお世話になっているから……。
だから……。
「うん、わかった」
だから私は拓生くんの相談を聞くために拓生くんの家に行くことにした。
* * *
放課後。
「さあ、どうぞ」
「おじゃまします」
拓生くんの家に入って、いつものように拓生くんが飲み物やお菓子を用意してくれている間に、私は拓生くんの部屋に入って拓生くんを待つ。
少ししてから拓生くんが、用意してくれた飲み物とお菓子を持って部屋に入ってきた。
「結菜ちゃん、どうぞ」
「ありがとう、拓生くん」
まず拓生くんが話をする前に私と拓生くんは、拓生くんが用意してくれた飲み物やお菓子を飲んだり食べたりしていた。
飲み物やお菓子を飲んだり食べたりして落ち着いたところで本題。
「拓生くん、相談したいことって何だった?」
私の方から話を振ってよかったのかどうかは、わからなかったけれど、話を振ってみることにした。
「あ……えっと……」
……?
拓生くん?
拓生くんは言いづらそうにしていた。
やっぱり私から話を振ったら、まずかったかな?
拓生くんから話し出すのを待った方がよかったかな?
私の中でそんな思いがグルグルと回っていた。