……あっ、そうだ、一輝くんにも一応、拓生くんのことを紹介しなくては。
拓生くんは、一輝くんが拓生くんのことを知っているなんて知らないから紹介しないと、拓生くんに不自然に思われてしまうかもしれない。
なんで自分のことを知っているのだろうと。
一体いつどこで知ったのだろうと。
もちろん拓生くんは、私と一輝くんが一緒に暮らしていることを知らない。
前に私と拓生くんが一緒にいるところを一輝くんが見かけたことも知らない。
家に帰ったときに一輝くんが言った。私と拓生くんが一緒にいるところを見たって。
そのとき一輝くんは、まだ拓生くんの顔も名前も知らなかった。
なので、私が一輝くんに拓生くんのことを話した。
同じマンションの同じ部屋で、私が一輝くんに拓生くんのことを話したなんて口が裂けても言えない。