それから瞬く間に半月が過ぎた。

時間というものは、一度行く先を定めると目に見えて動き出す。担当医師に一週間の外出願いを出して、今後の治療方法を話し合う。同時に、体力を取り戻すため、病院の公開空地や散策路をリハビリするみたいに歩き回る。本当にそんなことができるのか、とても不安だったが、私の体は、今までが仮病だったみたいに日を追うごとに軽くなった。体の奥から得体の知れない力が湧いてくるのが、手に取るように感じられた。

「これなら、何とか大丈夫でしょう」

無事、担当医師からお墨付きをもらった所で、私の計画は、また一歩前に進んだ。

待ってろ、テンドウ…そうして医師に背を向け、こっそりガッツポーズをしている時だった。

「何かいいことがあったの?ありえないくらい元気になっているけど…」

後ろから思いがけない言葉を掛けられた私は、何も考えず振り返り、医師に向かってありのまま答えていた。

「はい。仲のいい友達が留年したんです」

私に生きる力を与えてくれる人が、この世に一人だけいる。意志が弱くて、努力するのが嫌いで、すぐに人に頼ろうとする。どうしようもない愚図だけど、とびきり素敵な王子様が。