すべてへ 長歌
天が裂け、水が流れて
川溢れ、家がつぶれる
風吹けば、屋根が吹き飛び
すべてなる、物がながさる
人は死に、二度とかえらず
歌い手は、挽歌を歌ふ
四角き箱、荒れ果て死ぬる
街流し、恐怖をあたう
ただ雨に、ただ雨風に
人がすらる、ことは死ぬのみ
ただ雨に、ただ雨風に、あおられぬれば

反歌
自然には、勝てぬものとは知りながら、
人は後ろを、つゆ振り向かず