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今までありがとうございました
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先輩とこうしてノートで話せてよかったです
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私 告白しようと思います
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私、松本江里乃は
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二ノ宮先輩のことが 好きです
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今まで、どうしてみんな好きな人に告白できるのかわからなかった。両想いならともかく、気持ちがわからない相手に告白するなんて、博打みたいなものなのではないかと思っていた。
でも、今なら少し、わかる。
正直、この告白はなんて無意味なことなのかと思う。それでも、伝えることを選んだ途端に、気持ちが軽くなった。
――と、思う。
今すぐ決断をなかったことにしたいくらい緊張しているけれど。
ポケットの中に手を入れて、送別会の日に渡すのをやめたハンカチとともにノートに触れて心を落ち着かせる。
はじめから、私はずるかったんだ。
先輩が私のことを好きだから、自分の気持ちを受け入れたり。先輩が告白してくれたら交換日記のことを伝えようと思ったり。違ったからと、このまま名乗らずに終わらせようとしたり。
相手に任せて自分が傷つかない、楽な道ばかりを選んでいたんだ。
先輩は、私のことを「真面目で、しっかり者で、いつも自分のことより人の気持ちを考えることができて、やさしい」みたいなことを言ってくれた。ウソをつかない、とも言ってくれたっけ。
けれど、実際の私は先輩のイメージからはほど遠い。
いつも悩んでいたのに、それを誰にも訊かなかった。本当は吐き出したい弱音を呑み込んで、正論を身にまとっていた。そうすることで、自分は強いのだと、そう信じていた。
本当の私は、この交換日記の中の〝ななちゃん〟だった。
あんなに褒めてくれたのに、先輩の見ていた私はウソばかり。すべてを伝えたら、先輩は私に幻滅するだろう。ウソをついて交換日記をしていたことに怒るかもしれない。もしくは、落胆するかもしれない。もしかしてもしかすると、それほど私に興味がなく、あっさりと受け入れてくれるかもしれないけれど、それもそれで切ないものがある。
でも、決めたんだ。
自分のことを嫌いになる前に、区切りをつけようと。