「それにしても、本当にしょっぱいな……」
そう言いながら、ふふ、と少し声を出して笑った彼。
「ね」
にっこり笑いながら、相槌をうつわたし。
「でも甘い」
「ん?」
彼の言っていることがわからず、わたしは瞬きを繰り返した。
「お前が、甘い」
わたしが、甘い?
わたしは、クッキーじゃないよ。
「なんで、しょっぱいのに甘いんだろ」
そう言いながら綾人は、自分の両手でわたしの顔を挟んだ。
「え?」
「お前といるだけで、甘い気分になるんだよ」
そうささやきながら、わたしの頰をむにむにと触った。
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