数日後。
わたしは、新しく見つけたレシピでトマトを料理し、彼の家へ向かった。
「綾人(あやと)!」
わたしがチャイムを鳴らすと、いつものように笑顔で出てきてくれた彼。
「お、沙耶(さや)ー!」
彼_____綾人は、わたしが持っているバッグに目を落とした。
「今日もクッキー焼いたのか?」
「うん! 今日は、いつもと全然違うんだ」
わたしはそう言いながら、バッグに入っているクッキーの袋を取り出す。
「トマトのクッキー、焼いてみたの。またお母さんがたくさんトマト送ってくるから」
「トマトのクッキー?」
彼が、不思議そうに首を傾げる。
まあ、いつもチョコとか蜂蜜といった甘い味のするクッキーばかりだったから、いきなり野菜が使われたクッキーを焼いたら、そりゃあちょっとびっくりするだろうな……。
「うん。レシピとか、あったから見て作ったんだけど……」
あまり自信がないので、わたしはそうごにょごにょと言った。
「やっぱトマトだから、そんなに甘い感じはしないだろうな」
興味深そうに、わたしのバッグの中を覗き込む彼。