珍しいと思うし面白い学校だとも思う。最近は時計やスマホに上手くカンニングを仕込む輩も話題になっているため、学校側もお金をかけたのだろう。学費が値上げされたのなら保護者側からすればいい迷惑だが、迷惑なことであっておかしなことではないと幸哉は感じた。


「普通カンニング対策として使うなら、テストが始まる前に探知機で調べればいいじゃん。何でトイレに行く前後だけ? 座席でカンニングしようとする強者への対策としては不十分だと思う」


 危険度が高いのはトイレだが、これまで世間で話題になっていたのは試験監の監視下にある教室。自身の座席でのカンニング行為だ。強者の存在が少なからずいると世間に通っている以上、危険因子の可能性は真っ先に考慮する。最もな意見でありそれは理想であるが、残念なことに難しいのが現実というもの。


「先生達の優しさだよ」

「どこが」

「何十人もの生徒の服装や持ち物を毎時間調べていたら、休み時間に勉強が出来ないしトイレにも行けないだろ」


 朝の登校時に一回だけ。カンニングを企む輩は一回くらいならばと試行錯誤をして乗り越えてくる。


「保護者からクレームが来ることも恐れて、教員の注意でどうにかなる部分は文明の機器に頼らず乗り越える。そういうものだ」


 それ故に監視の目も厳しくなる。手遊びをするだけで近付いて来られるだろう。


「流石、元教師を目指していただけあるね」

「放っとけ」