フルーツサンドはハムたまごサンドに変更し、フルーツの代わりにキュウリ、トマト、レタスを挟む。ブラックペーパーとマヨネーズで味付けした卵にアクセントとしてほんの少し、刻んだパセリとチーズをまぶしてあるのがポイントだ。ハムを布団のようにかけてやればパンの前にレタスと挟み込む形になり、より一層零れ落ちにくくなる。

 本来挟む筈であったフルーツはオマケのように小皿に乗せて、サンドイッチと共に出した。


「サンキュー。そういやユキ君、新しく出来た業務用スーパーにはもう行ったのかい?」

「ええ、開店したその日に。クーポンとか期限を忘れそうですしさっさと使いたくて。なにより卵の無料引き換えは先着順、無くなり次第終了ですので」


 完売前に確保すべく早朝から出向いた。夕方にもう一度訪れたときはまだ残っていたため今日も運がよければまだあるかもしれない。タダ券がない以上、安くなければ必要ないため買うことはしないが……。


「んじゃ、メニュー変更で卵料理をごちになったわけだし、これはユキ君にあげようかな」


 ポケットから彼が取り出したのは、先日幸哉が使用したのと同じクーポン券のチラシ。卵の無料引換券も未使用の状態だ。


「いいんですか?」