いつの間にそんなところを見抜かれていたのだろう。自分で意識したことはなかったが、言われてみればその通りな気がした。またしても肯定はせず、代わりに相手に伝わるであろう笑みで返す。正解に対する素直でない表し方だ。
「アレルギーはなかったですよね? 苦手な物がありましたら今のうちに」
「苦手な物―? いい歳した大人がそんなもんあるわけ――ちょっ、ユキ君それは止めて!? 食パンに生クリームを塗るのは却下!」
「はいはい、かしこまりました」
分かっていて聞きやがったな……。クスクス笑う幸哉に対し、刻間は苦笑しながら小さくぼやいた。
以前学校が休みの土曜日に彼がお茶をしにやってきて、ガトーショコラに添えた生クリームが一切手を付けられていなかったことを幸哉は覚えていた。もしや生クリームが苦手なのだろうかと思っていたが、ビンゴである。
本日の日替わりモーニング。サンドイッチ、サラダ、コーヒーもしくは紅茶が付いて五百五十円。おそらくサンドイッチがフルーツサンドとは思わずに注文したに違いない。