先ほどのコーヒーは眠気覚ましの差し入れなだけであったが、今度は本当に休憩の許しをくれるらしい。いくつもの苺の果肉を乗せ、こだわりのお手製いちごソースをかけたオリジナルのかき氷だ。
「お疲れさん」
幸哉は二つのグラスにラムネソーダを注ぐと、その一つを時環に手渡して自分のグラスを軽く当てた。カツンと乾杯の音が響き、幸哉はストローも差さずに勢いよく喉に通す。対して時環は呆然と幸哉を見つめて動かない。
「どうした?」
自分に向けられたその眼差しに気付いてしまえば、その後は内心落ち着かないものだ。
「幸哉さんが炭酸を飲んでるの、珍しいなって思って。なんか苦手そうな顔をしているし」
「どんな顔だよ。まあそうだな……基本的に俺はコーヒー党だからな。イメージが沸かないのも無理はない。でもジュースだって飲むぞ。オレンジとか林檎とか、フルーツ牛乳とか普通に好きだ」
「炭酸も?」
「まだ疑うか。嫌いな物を自分から飲むわけないだろ。風呂上がりに炭酸水とか飲むときだってあるよ。でもビールの味は苦手だなー。あれが美味しいという大人の気がしれん」