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朦朧としていた意識が一度途絶え、再び現実へと舞い戻る。言葉に出せない願望がひとときの夢を見せていたのだと、上げて落とされた分の落胆が重たく少年にのしかかった。
頭の処理が聴覚に追いついたのはその後直ぐのこと。
――――
――通報があって……。
――あくまで可能性です。
「――さん、入りますよー……あっ!」
二人の警官が家の中に立ち入り、少年の姿を見つけた彼らは目を見開けた。パトカーと速やかに到着した救急車は人を呼び寄せるには十分で、数日の間に噂の声は時計店にまで伝わってきた。
少年は病院へと搬送され、退院後は施設へ送られたそうだ。三食の食事がきちんと出され、規則正しい普通の生活を前に現実だと思っていた世界が非現実であった事実を少しは目の当たりにしただろう。
幸哉も斗夢も少年との関係は他人に過ぎない。少年が施設に送られた後のことを知ることはない。
本来ならば。