意識を朦朧とさせながら、ゆっくり……ゆっくり一歩を踏み出して、どうにか帰路についた。鍵を閉めて寝室である和室に向かう気力も無く廊下に倒れ込む。こういったことは少年にとって初めてでは無いため、不安と寂しさは付き纏っても恐れることはない。
――大丈夫。しばらく横になっていれば、きっと元に戻る……。
先日の雨の気温が原因の風邪だと少年は気付かなかった。そもそも風邪というものを少年は認識していない。ただ身体がだるくて苦しい、定期的に怒る身体の変化だとばかり思っている。
どんなに苦しくても。
どんなに寒くても。
例え身体が動かせなくても。
時間が解決してくれる。時間が助けてくれる。
きっと今回もそう。
そうに……違いない……。