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図書館にいるだろう。彼女のクラスメイトの予想は当たり、絵茉は机の上で突っ伏していた。
腕で隠された目には涙が浮かんでいる。そんな少女に、時環は構わず差し出した。
「これ、君のだろ」
顔を上げた絵茉はそのノートを見て少しばかり驚いた顔を見せた。捨てた筈の物が目の前にある。捨てたい思い出が、返ってきてしまった。
「今は見るのも辛いかもしれない。でも、ここに書かれてあることは、君にとっての大切な思い出だってあるはずだ。いつか過去の苦しみに耐えられるようになって、大事な思い出を振り返りたいと思ったときのために、持っていて欲しい」
見知らぬ男子生徒にそのようなことを言われ、戸惑って当然だ。だが絵茉は口を挟まなかった。
「捨てたら中身は見ないで済む。でも、持っていても見ないようには出来るし、見ることも出来る。君にとって後悔がないように、持っていて欲しい」
「あなた、誰?」
未来で彼女は、時環に向かってなんて言っただろうか。
「ただの、落とし物を拾った奴だよ……」