幸哉のご飯よりは好みでないが、コンビニのご飯よりは健康的だ。


 合コンというのは必ずしも人数を合わせなくてはならないなんて、さらに面倒くさいなと時環はため息を吐いた。時環が主催者ならば、一人や二人くらいの誤差は気にしない。誰かがトイレに行けば、その瞬間は人数が欠けてしまうものなのだから。事前に欠けていて何が駄目なのか。

 彼のように、合コンだけでなく合コンという文化を好む人間のこだわりだろう。


「やっぱり嫌だ」

「ちょっ! 待てよっ、刻間!」


 例え奢ってもらったところで、列に並ぶ時間が勿体ない。

 何より幸哉のご飯には叶わないのだ。


 ――時計とお弁当のお礼に、チョコでも買って行こ。


 弁当に入っていたカツは夕飯の残りだろうか。時間が経っても消えない美味しさを味わうと、出来たての味が気になった。いつかランチのメニューに加えてもらえないか、クラスメイトの声を無視して考えながら、寄り道先と時計店に足を進めた。

 お弁当箱は後日返すにしても、借りた時計はその日に返した方がいい。