「ああ、思い出した。美人だな!」
「だろ! 本人のガードが鉄壁で、色恋沙汰以前に集団で遊びに行くことにも一切興味がないみたいでな。彼女の友達が根気強く誘ってくれたおかげで、今回初めて来てくれることになったんだ」
「俺全く関係ないじゃん」
友達に頼まれて彼女は参加する。友達が急用で行かなくならない限りは大丈夫だろう。彼女の友人に参加するよう念を押す方が確実だ。
「やっぱり気が変わって、来ないかもしれねーだろ。念には念を、保険をかけておくべきなんだよ。なんてったってお前は、夏目絵茉の好みのタイプなんだからな!」
「色恋沙汰に興味がないって情報はどうした」
そして夏目絵茉が時環に好意を寄せているならば、そんなライバルは誘わない方がいいのではないか。時環も恋愛には未だに興味がなく、面倒くさいというのが本音だ。今はそんなことよりも次のテストに備えたい。再試を回避するために。
「あえて一人を選ぶならと、彼女の友人が質問したらお前だって」
「絶対に俺のこと、好きでも何でもないから。強制的に選ばせられただけだろそれは」
「細かいことは気にすんな。どうせ人数足りてねーんだし」
それが本命だろう。
「頼む! 今度出席の代行するからさ。なんだったら学食メニューの奢りでもいい!」