一日の科目が全て終わると、想像以上の疲労と出来の悪さに気分は急降下する。そんな時環の心情を知る由もないクラスメイトは、内心で黒い感情を渦巻かせる時環に気付くことなく声をかけた。


「合コン?」

「頼むっ、人数合わせでもいいからさー」


 テストの問題は思いの他見覚えのある問いが多く、もう少し真面目に勉強していれば余裕で点数は取れただろう。痛感して後悔に居たたまれる。

 後日に行われる残りの科目のことではなく、それらが全て終わった後の予定を決められるクラスメイトとは違って、頭の中に浮かぶのは再試にかかるかどうかの不安だった。


「悪いけど、そういうの興味ないから。他当たってくれる?」

「待て。マジな話、お前が来てくれないと夏目さんも来ないかもしれないんだ。友人の助けになると思って!」

「夏目さん?」

「夏目絵茉だよ、知らねーのかよ!? 出席番号が前後で、授業のグループだって毎回一緒になってんだろお前! 班のメンバーの名前くらい覚えろよ!」

「そういえば……聞いたことあるような、見たことあるようなないような」


 番号が前後ということは、今日のテストでも時環の後ろの席にいた彼女。必須の科目であるため未履修の生徒はいない。もしも彼女に双子の姉妹がいたとしても、漫画のように入れ替わりのお遊びをしていないのであれば間違いなく彼女自身の筈だ。