「百華ちゃんが帰った後に弟から電話があってさ、この1週間の話とかしたらさ、弟の部屋に置きっぱなしの眼鏡があるって聞いて部屋に行ったらあったんだよ」
何か嬉しそうに話す先輩に段々と苛立ちを覚えてきた
「この色可愛くない?この色ってさー」
「別に……」
「そっか……」
ひどい態度を取ってしまった……
でも、先輩もひどいもん、せっかく2日間も掃除してやっと見つけた眼鏡をつけないし
何のために私は探しに行ったの?
ただの掃除屋じゃん……
暫く沈黙の後私が言った
「あの」
「ん?」
「おじいちゃんに言っておくので部活の後、眼鏡取りに来てくださいね」
「ああ、わかった、ありがとう」
先輩から弁当箱を受け取る
「あと、校内で見かけても名前呼ばないでください、失礼します」
私は走って教室を出ていった
中庭のベンチに座る
理由がわかればいいや……
お弁当の鞄に入れてあった修理済みの眼鏡を渡せなかった……
あれ以上話すと泣いてしまいそうで、それにもう先輩と関わることもないだろうし……
あれ……何で涙が出てきたの?
ぐすっ、きっと光のせいだよね、眩しくてだよね……
何であんな態度取っちゃったんだろう
眼鏡が違うって些細な事なのに、どの眼鏡を使うかなんて先輩の意思なのに……
うっ……訳のわからないこの気持ちを自分で壊しちゃった………