「……堤くん、ちょっと来て」

私は堤くんの腕を引っ張って教室から出る

「もう〜、なんて事言ってくれるのよ」

「どうしてさ、兄貴の事言ってないのかよ」

「当たり前じゃない」

「兄貴がかわいそう〜、嬉しそうに彼女出来たって報告してくれたのにさ、肝心の彼女は彼氏の事を隠すんだー」

「色々とこっちだって事情があるの、みんなの前で言うことないでしょ!」

「兄貴はどうして百華がいいのかねー」

「ちょっと呼び捨てやめてよ」

「同級生だしいいじゃんか」

「えー、やだ!先輩が気にするじゃん」

「兄貴は多分何も言わないよ(笑)俺の性格知ってるしさ」

「とにかく、呼び捨てはやめて、明日みんなに質問攻めだよ、どうしよ〜」

「知らね……駅まで帰ろうぜ」

「私の家知ってるの?」

「俺だって眼鏡作ってるし、普段は兄貴と逆でコンタクト入れてるし、ほら行こうぜ」

今さら教室に戻ることも出来ないしな

結局駅まで一緒に帰った

堤くんは向こうの暮らしに慣れなくてこっちに帰ってきたらしい

先輩と正反対の性格だなぁと思いながら

先輩にLINEを入れる

“ バイト終わったら話したいです”