朝倉が驚愕の表情で振り返る。当の大下は醜悪な顔で真名を睨んでいた。
「神代さん、きみは何を言っているんだね。ここだけの話、もし就職が厳しいようなら研究者の道を紹介しようと思っていたが、残念だよ」
真名のバッグのスマホから泰明の声が響いた。
『そう。あんたは浩子さんのときにも同じ事をしたな。教授の権力を巧みにちらつかせながら、浩子さんと朝倉さんの仲を引き裂こうとし、浩子さんを自分のものにしようとした』
大下が真っ赤になって怒鳴る。「一体誰だッ。そんな侮辱をするのはッ」
真名がスマホを取り出すと、テレビ電話の画面に泰明が映っていた。
『侮辱ではない。真実だ』
「何を――」
怒鳴る大下にうろたえながら、朝倉が真名に尋ねる。
「神代さん、いまの話は本当なのか。そもそも、そんな話、どこで――」
すると真名はさらにポケットから一枚の霊符を取り出した。
「これから破格のことをします。――朝倉先生、見ててくださいね」
真名は朝倉に一言声をかけると、スマホの泰明を霊符に対面させる。
『急急如律令ッ』
泰明の気迫に満ちた声が会議室に響いた。
その瞬間。
霊符が黄金色に光を放った。
大下も朝倉も、真名までも、黄金の閃光に眼を閉じる。
光は一瞬で止んだ。
目を開けばついさっきの眩しい光は消え、代わりに茶髪の男が出現していた。
シャツにデニム、首にはヘッドホンをかけている。
明らかに女子大にいてはおかしい男性――律樹がそこにいたのだ。
「神代さん、きみは何を言っているんだね。ここだけの話、もし就職が厳しいようなら研究者の道を紹介しようと思っていたが、残念だよ」
真名のバッグのスマホから泰明の声が響いた。
『そう。あんたは浩子さんのときにも同じ事をしたな。教授の権力を巧みにちらつかせながら、浩子さんと朝倉さんの仲を引き裂こうとし、浩子さんを自分のものにしようとした』
大下が真っ赤になって怒鳴る。「一体誰だッ。そんな侮辱をするのはッ」
真名がスマホを取り出すと、テレビ電話の画面に泰明が映っていた。
『侮辱ではない。真実だ』
「何を――」
怒鳴る大下にうろたえながら、朝倉が真名に尋ねる。
「神代さん、いまの話は本当なのか。そもそも、そんな話、どこで――」
すると真名はさらにポケットから一枚の霊符を取り出した。
「これから破格のことをします。――朝倉先生、見ててくださいね」
真名は朝倉に一言声をかけると、スマホの泰明を霊符に対面させる。
『急急如律令ッ』
泰明の気迫に満ちた声が会議室に響いた。
その瞬間。
霊符が黄金色に光を放った。
大下も朝倉も、真名までも、黄金の閃光に眼を閉じる。
光は一瞬で止んだ。
目を開けばついさっきの眩しい光は消え、代わりに茶髪の男が出現していた。
シャツにデニム、首にはヘッドホンをかけている。
明らかに女子大にいてはおかしい男性――律樹がそこにいたのだ。