二限がまだ終わっていないので、食堂は空いていた。
 今日の日替わりは油淋鶏定食で、ふたりともそれにする。ランチのトレイを持って向かい合う席に座ると、何だかとても仲のいい友達ができたみたいでうれしくなった。

「いただきます」と手を合わせてふたりは食べ始める。

 からりと揚がった油淋鶏にネギだれをたっぷりからめて口に入れた。
 歯を立てると衣はかりっと、肉はやわらかくてジューシーだった。
 鶏肉の旨みとたれの甘み、ネギの風味に舌が喜び、ごはんが進む。
 ワカメスープのごまも香ばしく、付け合わせのキャベツの千切りもたれが絡んでおいしかった。

 おしゃべりをしながらランチを楽しんでいると、留美が何気ない顔で直球を放ってくる。

「泰明さんとはどういう関係なんですか」

「や、泰明さん!?」

 口の中の油淋鶏をよく噛まないで丸呑みして喉が痛くなった。

「ほら、私、占い好きじゃないですか。占いの定番と言えば恋占いですし。いやー、何かいい感じじゃないですか」

 サークルは辞めたが根っこの所は変わっていないらしい。

「えー。そ、そうですかぁ……」

 根っこの所が単純な真名は、満更でもなく思ってしまった。

「ああいうツンケンしたタイプは母性に弱いんですよ?」

「本当ですか」

「タロットで出てました」と留美が重々しく頷いた。

 ふと気になって頭上のスクナに意識を向ける。

「うん? 母性と言われてもスクナにはよく分からんのじゃが、少なくとも若い真名にはまだまだ母親の如き包容力はないじゃろ」

 だよなぁ、と自分でも思う。むしろ真名の方がまだお母さんに甘えたい。

「母性かぁ……」と真名が唸ると、留美が無責任に応援した。

「目指せ、男のわがままを包み込む大人の女、ですよ」

 ドS陰陽師を包み込めるような懐の深い自分を想像しようとして、真名は失敗する。

「どうやったらそんな大人の女性になれるのでせうか」

「タロットには出ていません」

 留美の無慈悲な返答に真名がくずおれたときだった。