それから写真を確認するために部室へと戻った。
彼が手をかけたのは、暗室と書かれた部屋のドアノブだ。ゆっくりと扉を開けると、窓がない四畳ほどの空間があった。
狭いわりには物が多くて、ふたりで横並びで入るのがやっとだ。
部室には入部してから何度も出入りしてきたけれど、暗室に入ったのは今日が初めて。旭もそうだろうと思っていたけれど、慣れたようにカメラからフィルムを取り出して機械へとセットしている。
「写真を現像したことあるの?」
「実はこっそり先生に教えてもらった。響にすごいって思われたくて」
へへと、気恥ずかしそうな顔をする。それを素直に伝えてくるのが彼らしいと思った。
「じゃあ、電気消すよ」
旭が蛍光灯のスイッチを切ると、部屋は怖いくらいに真っ暗になった。
「あ、旭……」
完全に光が遮断されているのでなにも見えない。思わず彼の腕を掴むと「大丈夫だよ」という言葉と一緒にセーフライトがつけられた。私の視界は一瞬で赤色に包まれる。
「なんか……怪しい雰囲気だね」
「実験みたいだろ」
「うん。これから悪いことをするみたい」
「ははっ」
旭は笑いながら、機械のノブを回して高さやピントを合わせている。そしてイーゼルの上に置かれた白い紙に光が当てられた。