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写真部の部室はいつも殺風景だ。そんな中で俺は顧問の先生に棚の鍵を開けてもらい、年季が入ったフィルムカメラを触っていた。
「使い方、わかるの?」
それを見ていた市川が後ろから顔を覗かせている。
「詳しいわけじゃないけど、違う種類のフィルムカメラならうちにもあるから」
「だから写真部に入ったの?」
「いや……どうだろ」
俺は曖昧に答える。運動部以外で静かに活動できる部活ならどこでもよかったけれど、一番最初の選択肢として写真部が浮かんだってことは、少なからず関心の中にはあるものなのかもしれない。
「なあ、今日は校外に出て写真撮りにいかない?」
「そのカメラで?」
「ううん、これフィルム入ってないし多分勝手に持ち出したら怒られるから、いつものスマホで」
俺の提案に、市川はあっさりと乗ってくれた。俺に対して警戒心を強くしていた彼女も、日に日に心を許してくれるようになってる気がする。