「うん、わかったよ」

お母さんは私に望むことがたくさんあっても、私はお母さんになにかを望んではいけないのだと感じた。

「ありがとう。ご飯は食べてきたの?」

「うん。未央がやっと寝たんだからお母さんも早く寝なよ」

「そうするわ。おやすみ」

自分の部屋に向かったあと、電気も付けずにベッドに座った。

わからない。

わからないけれど、涙が出てくる。

お母さんのせいでも未央のせいでもないのに、こんなに苦しいのを誰かのせいにしたいって思ってしまう。

暗闇の中、スマホの画面をタップした。旭と繋がる番号を見つめて、また涙が頬を伝う。

ねえ、旭。

幸せって、なんだろう。

それってどこにあるんだろう。

旭はちゃんと泣ける場所にいる?

温かくて優しい場所にいる?

きみがきみらしくいられる場所にいる?

今の私には……どれも遠い場所だよ。