旭との再会から一年後。私は環と一緒にいた。

あれからも私たちの交流は続いていて、自然と私も彼女のことを名前で呼べるようになっていた。

「あ、そういえばね、芽衣たちがまた遊ぼうだって」

マキちゃんねるの視聴者だった私の友達とも環は仲良くしてくれている。

「いいけど、私、そんなに暇じゃないのよね」

彼女はこの一年で芸能事務所に入った。モデルという夢を追いながらも今できることはなんでもやっていて、なんとメイク本をいずれ出版する話もあるそうだ。

「あんたは将来どうする気なの?」

環の姿に感化された私も少しずつ進路について考えるようになっていた。

「私は保育士を目指すつもり」

あんなに未央のことで悩んでいたのに今では可愛くて仕方なくて、保育園の迎えをしてるうちに保育士の職に興味を持つようになった。

「環は卒業したらこっちに住むんでしょ?」

「それはまだ考え中。仕事するなら東京にいたほうがいいんだろうけど、やっぱりあの田舎の町も好きだしさ」

「そっか」

「あ、私、そろそろ時間だから行くね」

「うん、またね!」

環は出版社の人と打ち合わせがあるようで、駅前で別れた。