『なあ、俺さ、最初から響のこと強いだなんて思ったことないよ。本当はこうして泣いてくれたらいいのになって思ってた』
彼の声を聞きながら、私は〝あるもの〟を抱きしめる。それは旭が残してくれた二十四枚の写真。
暗室で焼けなかった他の写真はあのまま駅前のプリント屋に行って現像してもらった。
確認すると、やっぱりそれは全部私だった。
ぼんやりしてるところとか、あくびをしてるところとか、油断してる姿ばかりで、最後はちょっと!って撮られているのを見つけて怒っている顔だった。
「……あのね、今日中学に行って、旭が置いていったフィルムを見たよ」
『やっとか』
「うん、やっと」
私に勇気があれば、もっと早く発見できた。でも彼がいない部室に行こうと思えるまで、私にも時間が必要だった。
「旭はいつも私のことを見ててくれたんだね」
『俺はいつでも響のことを見てたよ』
優しくオウム返しされた言葉に、また視界が滲んでくる。
彼は私が弱くてもダメでも関係ない。
私がこうでありたいと思っていた鎧の奥。
ありのままの私を旭だけが知ってくれていたんだ。