……え、な、なにこれ?
私のことを名前で呼ぶのは旭しかいないから、このメモと一緒にフィルムを置いたのは彼で間違いない。
もしかして……と、セピア色のネガを確認すると、なにかが写っていた。
旭が……私になにかを残してくれた?
そうかもしれないと思ったらいてもたってもいられずに、私は写真を焼く準備を始めていた。
文化祭の写真展の時、たくさん写真を用意したので、その時に彼から焼き方は丁寧に教えてもらった。と言っても、ひとりでやるのはこれが初めてだ。
上手くできないかもしれない。でも、彼がなにを撮ったのか私は見たい。
旭がやっていた手順を思い出しながら、なんとか印画紙にフィルムを投影することができた。
そしてトレイに現像液を入れて、ピンセットでゆっくりと印画紙を浸透させていった。赤色のセーフライトの中で、徐々に浮かんでくる形。
「これって……」
写真を乾かすためにクリップで留める。
そこに写っていたのは、私だった。
まさかと思い、残りのネガをセーフライトの明かりにかざした。
「……なんで、」
全部で二十四枚。その全てに私らしき人が写し出されていた。