「あの、写真部ってまだありますか?」
「おお、あるぞ。顧問の先生は去年別の学校に転勤されたけど、今年は新入部員がふたり入ったし、ちゃんと活動してるよ」
「ふたりも?」
数にすれば少ないけれど、私が在籍していた時は誰もいなかったので正直今もそういう感じだと勝手に思っていた。
「ほら、二年前に三浦と文化祭で写真展をやった時があったろ? あの時に写真部の部室から見える夕日の写真を見て、中学に上がったら絶対に入部するって決めてたらしいぞ」
「……え?」
先生の言葉に、じんわりと胸が熱くなる。あれは私たちの始まりの写真だった。
――『じゃあ、これから俺と綺麗なものを探して撮ってみない?』
あの夕日がなければ、私と旭は会話もろくにしない、ただのクラスメイトの関係だったかもしれない。
私たちの始まりを見て、なにかを始めたいと思ってくれた人がいた。
それがわかっただけで、私は涙が出るほど嬉しかった。
「先生、少しだけ部室も見たいんですけどいいですか?」
私は許可をもらって部室へと向かう。先生は帰る時に声をかけてくれたらいいからと、私をひとりにしてくれた。