もしも強い人がいるなら、それはきみのような人だと思っていた。

いつも笑顔で、いつも優しくて、いつも誰かに必要とされてるきみは眩しかった。

でも、私が知っているきみのことなんて、ほんの一部なのかもしれない。

私はきみのことを本当はなにひとつ知らないのかもしれないと思ったら……。

寂しいというより悔しかった。


夏休み明けの新学期。課題なんてそっちのけで遊び呆けていたクラスメイトたちがうるさく騒いでいる。

「響、久しぶりー!」

友達たちがぞろぞろと机の周りに集まってきた。みんなの肌がこんがりといい色に焼けている。

海に行こうとか、お泊まり会をしようとか、頻繁に誘いの連絡があったけれど、適当な嘘をついて断った。

遊びたくないわけじゃなかった。

現に夏休み中、私には使いきれないほどの時間があったけれど、みんなの上がり切っているテンションに付いていける気がしなかったのだ。

「この前デイキャンプに行ったけど、めちゃくちゃ楽しかったよ! 今度は響も絶対に行こうよ!」

「う、うん。そうだね」

私はいつまでこんな表面的な付き合いを続ける気なんだろう。

みんな見捨てずにこうして友達関係を続けてくれているのに、仲間には入れないという疎外感が拭えない。

【大事な話がある。時間がある時でいいから電話しよう】

そんな中で私は旭からのメールを思い出していた。

大事な話って……急な用事のことだろうか。