そして無事に文化祭が終わり、誰もいなくなった教室でふたりだけの打ち上げをすることにした。
「お疲れ」
クラスの出し物で余った缶ジュースで乾杯をする。
「うん。お疲れさま。クラスの打ち上げのほうに行かなくてよかったの?」
「だって俺、ほとんど写真部のほうにいたしさ。まあ、響が行くなら行ってもいいけど」
「行かない。ってか誘われてないし」
「はは」
「笑うとこ?」
「いや、その清々しさがいいなと思って」
響と作り上げた写真展は思いのほか好評だった。実は俺も不安に思っていた部分があったけれど、今はやってよかったと心から思う。
「私、最初の頃、旭のこと苦手だった」
「え、そ、そうだったの?」
唐突に言われた告白に、缶ジュースを落としそうになった。
「うん。いい人を演じてる腹黒だと思ってたよ」
「そういや人に好かれすぎて怖いって言われたよな」
あれはびっくりというより笑った。思っていても普通は口に出さないだろうって。
最初は俺も響に対しての接し方は手探りだった。
どんな人か気になって声をかけたけれど、市川響という女の子を知れば知るほど、俺はその魅力に惹かれていった。