「この写真面白いですね」
そのうちに校舎が騒がしくなり、ぽつりぽつりと写真展に人が入ってきた。
やっぱり彼女の写真は興味深いようで、「どうしてこれを撮ろうと思ったんですか?」なんて、質問もされている。
困っていたらフォローするつもりでいたけれど、響は不器用ながらに一生懸命自分の言葉を紡いでいた。
出逢った頃は身体中から棘が生えているんじゃないかと思うほど角立っていたのに、今はちゃんと自分以外の人をわかろうとしている。
その変化を嬉しく思う反面、大人になっていく彼女に少しだけ寂しさも感じている。
できればその姿をこれからも傍で見ていきたいけれど……。
願いと現実は時として大きく離れた場所にあったりする。
「うわあ、この写真綺麗……!」
小学生くらいのふたり組が見上げる先には、仲良く並んでいる二枚の写真がある。互いに一番気に入ってる写真は引き伸ばそうと決めていて、俺と響が選んだのは……。
「これ写真部の部室から見える夕日なんだよ」
俺は得意げに説明する。打ち合わせをしたわけでもないのに、俺たちは一番最初にスマホで撮ったこの写真を大きく飾った。
同じ夕日を二枚並べると、まるで一枚の絵になったようで。きっと響とじゃなきゃ残せなかったものだ。