ひとりだった世界が壊されて、旭に再構築させられた世界は優しすぎて私にはちょっと苦しいくらい。
だから、たまに怖くなる時がある。
きみがいなくなったらどうなるんだろうって。
温かい場所でじんわりと絆された私の心は、また冷たい場所に戻った時、どうなっちゃうんだろうって考える。
そんなに私を甘やかさないで。
たまには強く突き放してほしい。
じゃないと、旭がいなきゃ息もできないくらいの私になってしまうよ。
「とりあえず展示する写真を撮りにいこう」
「撮るってどこに?」
「今日は学校の敷地内。体育館裏に穴があってさ。もしかしたらモグラがいるかも」
「ふっ、いないいない」
「いたらどうする?」
「なんでもしてあげる」
「お、言ったな!」
きっと私は旭みたいに写真に夢中になっているわけじゃない。
本当は写真じゃなくてもいいんだ。旭と一緒にいられて、繋がれるものなら、なんだって。
「よし、早く行こう」と、彼が私の手を引っ張る。
体育館裏まで遠ければいいのに。
放課後の部活が長ければいいのに。
なんでこんなに心臓が速くなるのか。なんで旭といると時間があっという間に過ぎてしまうのか。
そんなの、もう好きに決まってる。
私は旭に恋をしている。
……恋をしてしまったんだ。