二学期が始まると、旭が言っていたとおり文化祭についての話し合いが多くなった。どうやら彼は本気で写真展を開く予定でいるようで、すでに顧問に相談して、空き教室をひとつ確保してもらったらしい。

「って言っても三階の一番端の部屋だけど。人の目に触れやすい人気の場所はすでに上級生に取られてたよ」

二組でもおみくじ付きの食事を出す占いレストランをやることが決まっている。

目立つ生徒は客寄せとしてウェイターになることも話し合いで決定していて、もちろん旭も出るように頼まれていたけれど、クラスより写真部のほうを優先する気のようだ。

「写真展をやって本当に見る人なんているのかな?」

旭はセンスがあるからいいとしても、私なんてとてもじゃないけど人に見せるような写真は撮っていない。

「いいんだよ。わかってくれる人だけ見てくれたら」

彼はいつも簡単にすごいことを言ってくる。

「旭って、本当に名前どおりの人だよね」

朝日は夜を掻き分けるようにして光を放つ。彼がいるとみんな明るくなるし、楽しいし、こんなにピッタリな名前の人は他にいないと思う。

「響だって名前どおりの人だよ」

「どこが?」

「うーん。響の言うことやること、全部俺の胸に響くから」

「……なにそれ、ちょっとダサい」

「はは、やっぱり?」

無邪気に笑う彼の顔はカッコいいより可愛くて、ずっと見ていたいって思う。

「でも胸に響くのは本当。俺、響じゃないとダメなことがいっぱいあるんだよ」

ほら、またさらりとそういうことを……。