『この数日で変わったこととかなかった?』

「うーん……。とくにないかな。旭は?」

『まあ、俺もないかな』

なんとなくその声に元気がないような気がした。

私に言うほどのことじゃなくても、なにかあったのかもしれないと考える。そして彼も同じことを私に対して思っているかもしれない。

思えば私たちはお互いの近況報告はしても、どこか芯を食っていないような、真実を削ぎ落として、綺麗なところだけを見せようとしてるような感じがしてる。

私みたいに旭にも隠したいことがあったりするのかな。でも自分のことを話せないのに、彼にだけ聞くのはズルい気がして、こうしてまた口を閉じてしまうのだ。

「ねえ、旭のところにクラス会のハガキ届いた?」

『うん、来たよ』

「……行く?」

『迷ってる。響は?』

「私も迷ってるよ」

『響が出席するなら行こうかな』

「私は旭が出席するなら行こうと思ってた」

「はは、なんだ。一緒じゃん」

旭には会いたい。でもそうなると今の自分を見せなければいけないってことだ。

でも家族や学校のことで悩んでいても話さなければバレないし、その日だけきちんとオシャレをして、毎日充実してるような自分を作ることができれば大丈夫なんじゃないかと、ズル賢いことを考えていた。

『じゃあ、参加するなら同窓会の前に待ち合わせよ。響に話したいこともあるし』

「どんな話?」

『それは会ってから』

だんだんと旭との再会が現実的になっていく。

今の自分で会うことに怖さはあるけれど、どうしても彼の顔が見たくて私はクラス会への出席の欄にチェックを入れた。