【平気だよ。今は忙しくないの?】
嬉しくて画面をタップする指も軽やかだ。
【うん。落ち着いた。今なにしてた?】
【なにもしてない。家にいる】
【そっか。俺も】
またテンポよく会話が続く。すぐに返信しようとしたけれど指が途中で止まった。作った文字を消して、また新たに打ち直す。
【電話してもいい……?】
なんとなく声が聞きたくなった。返事を待たずにスマホの着信が鳴る。もちろん旭からの電話だった。
『久しぶり』
柔らかい声に、胸がぎゅっとなった。空白の二年間を考えれば、四日間なんて大したことはないというのに、彼と連絡が取れない時間は寂しくて仕方なかった。
「うん。久しぶり。……返事くれたら私からかけたのに」
『でも着信あったのに折り返せてなかったから』
お母さんと言い合いになって、『私のことなんにも見てないくせに』なんて、思わず本音を言ってしまって。どうしたらいいのかわからずに電話をかけてしまったけど、逆に繋がらなくてよかったと今になって思う。
だってあの時、旭の声を聞いていたら……私は間違いなく泣いていたと思うから。