「……母さんは俺に手術を受けてほしい?」
今まで俺の体についての話し合いはしてきた。でもやっぱり長い時間をかけても、決断することができずにいる。
「私は旭まで失うわけにはいかない。助けられる方法があるならなんでもする。でもどういう選択をすればいいのか……わからないの」
「うん、俺も」
手術をしないで命の期限の日まで待つのか。それとも手術をして自分の呼吸機能の回復にかけてみるのか。
答えが出ないまま時間は刻々と減っていく。
暗い空気に包まれている中で、母さんの手に握られているハガキに目が止まった。
「それ、なに?」
「ああ、さっきポストを確認したら入ってたのよ。こんな時に渡すものじゃないかもしれないけど……」
そう言って差し出されたハガキには【西中学校二年一組 クラス会のお知らせ】と書かれていた。
なあ、響。
俺はどこかでこれは自分の運命だからと諦めて、病気はあらがえないことだったと受け入れ始めていた。
だから会ってはいけないと。
会えない理由がありすぎると思っていた。
この知らせを彼女も受け取っただろうか。
自分たちの意思ではない。
でも会える理由が見つかった。
残酷な神様に、後悔しないように会っとけって言われている気がした。