「じゃあ、今、好きな人は?」
「……さあ」
「さあ、じゃなくて、いるかいないかで答えて」
なぜか今度は私が質問攻めにあっている。
私が好意的に思っているのは、旭しかいない。他の男だったら誘われても一緒に出掛けないし、こうして向かい合わせにも座らない。
彼だから許していることがたくさんある。
それって……恋愛の〝好き〟ってことなんだろうか。
喉が乾いてるわけじゃないのにゴクゴクと飲み物をストローで啜る。その間も旭はじっと私のことを見続けていた。
「……旭は好きな人いるの?」
答えられないので質問を返してみた。
「いると思う」
「……そっか、いるんだ」
空っぽになった飲み物をまた無意味に啜る。
さっき女の子に声をかけられていた時はとくになんとも思わなかった。旭が人気者なのは学校で見慣れているし、モテることはいいことだと思う。
でも好きな人がいるということは、その子は大勢いる友達とは違うってことになる。
聞いたのは自分なのに、なんで私はちょっと傷ついているんだろうか。
「この話はおしまい。早く食べよう。また写真撮りにいくんでしょ?」
誰?とか、どんな子?とか、聞いたらまた胸が痛くなる気がして、一方的に話を終わらせてしまった。