「たしかに落ち込むことも起きるかもしれない。でもその時には俺がいる。こうして出掛けたり、飯食ったり、話したりして、響の傷を塞ぐ手伝いをさせてよ」

「旭は……傷ついたりしないの?」

「するよ。でもあんま気にしない。ほら、体にできた傷だって触ると治りが遅くなるだろ。あれと一緒。傷は見て見ないふり」

彼がニカッと笑ったところで、私たちの番号札が呼ばれた。ポテトだけは時間がかかると待っていたのだ。

「俺、取ってくるよ」

「いいよ。私のほうが近いからから」

「じゃあ、響のハンバーガーが誰かに食われないように見張っとくわ」

「誰も狙わないでしょ」

私はクスリとしながら席を立った。トレーを持って席に戻ると、旭が二人組の女の子に声をかけられていた。

「カッコいいですね。どこの学校ですか?」

女の子たちはおそろいの肩出しワンピースを着ていた。見た目だけだと中学生なのか高校生なのかはわからないけれど、アクセサリーもバッグも靴も全部私が選ばないであろう可愛いものばかりだ。

「えっと……」

「今日はお友達と来てますか? これからどこに行くんですか? 彼女とかいますか?」

短時間で収穫を得ようと、女の子たちは彼を質問攻めにしていた。

……旭、困ってるな。でもなんとなくこのタイミングで席には戻りづらい。

どうしようか様子を窺っていると「あ、響!」と彼のほうが私に気づいて寄ってきた。